─つまり、医療費削減の影響が開業医に及んでいるのですね。川﨑 医療費は社会保障費の約3分の1を占めますが、そもそも社会保障費は増えているのでしょうか。(図2)をご覧ください。社会保障費の金額=棒グラフだけを見ると増えているように思われますが、これは日本全体の経済規模、人口が増えていけば、自ずと増えるものです。一方の対GDP比=折れ線グラフでは、ほとんど上昇がみられません。そして驚くことに、医療費に関しては高齢化が進行する中でも横ばいなんです(図3)。─この状況が「適正化」なのかわかりませんが、地域医療を守る開業医の負担は増えるばかりですね。川﨑 診療所のほとんどが一人医師である中、26%減となっています。験を積む機会になったのではないかなと感じています。大病院で経験する手術や複雑な全身管理も重要ですしね。─開業後はいかがですか。川﨑 最初は目の前のことに対応することで精一杯でしたが、地域医療に貢献しようとがむしゃらに仕事をしていたら、5~6年後にやっとゆとりが出てきました。ところがこのままモチベーションのある開業医生活が続くのかなと思っていたところ、2024年の診療報酬改定によって同じことをしていてもマイナスになってしまったのです。例えば月2回で計450点あった「特定疾患指導管理」が月1回計333点の「生活習慣病Ⅱ」に改定され、図2)社会保障費の推移 出典)厚生労働省のデータをもとに作成94
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