KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年9月号
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30252015105040歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代 90歳代40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代 90歳代500000450000400000350000300000250000200000150000100000500000(人)(人)(岐阜県保険医協会、2008~2017年)(人口統計、2016年)です(図1)。─その理由は何でしょうか。川﨑 調査をおこなった岐阜県保険医協会現在監事の浅井徳光氏は「長生きできない背景には勤務医時代からの過酷な労働がある」と指摘し、「開業医の働き方改革も急務」と訴えています。─常日頃の疲労だけでなく、若い頃の無理もたたっているのかもしれませんね。先生のご経験はいかがでしたか。川﨑 とにかく研修医の給料は不安定で非常に安かったですね。当直、つまり休日や早朝深夜といった診療時間外の対応も多く、ひと月に23日宿直したこともあります。残念ながら若い先生の話を聞くと、当直の報酬は30年ほど全く変化がないようです。でも振り返ると、いろいろな経医療に対するガイドラインでは、患者さんのリビング・ウィルや本人の意思確認、ACPというのは非常に繊細なので充分な話し合いをしなさいとなっているんです。しかし昨今は必要な薬の欠品、診療所の施設基準を得るための研修会への参加、加算を得るための診療所の統計データの提出が求められ、患者さんと向き合う時間が削られているという現実があります。このように厚生労働省は開業医にさまざまなタスクを課しておきながら、一方でじっくり時間を取って患者さんと向き合いなさいと矛盾することを言っているんですよ。─多忙すぎて、逆に開業医の命の方が心配になります。川﨑 実は、開業医の寿命が平均より低いというデータがあるんです。岐阜県保険医協会が実施した調査では、開業医の死亡平均年齢は70.8歳ということです。日本人の平均寿命が男性81歳、女性87歳で人生100年時代といわれているのに、医師の開業医は10年ほど短命なんですよ。世代別の死亡割合を比べても、日本人全体は80代の割合が高いのに対し、開業医は60歳代の割合が34%と高いの図1)年齢別死亡数  右:開業医 左:日本人全体出典)左:岐阜県保険医協会(2008~2017) 右:総務省統計局人口統計(2016)93

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