の大きさには、ħ/2、ħ、2ħ、そして0の4種類あるのですが、「/2」とついた(ħの半整数)ものと、ħの整数倍のものとでは、数式上はまったく異なる扱いとなります。そこで、物理学では、前者をフェルミオン、後者とボゾンとして、区別しています。理論物理学者というものはいろんなことを考えつくもので、一九七〇年代初頭に、複数の物理学者によって、相次いで、「超対称性(supersymmetric)」なる概念が考え出されました。これは、それぞれのフェルミオンに対してボゾンの相手方が、またそれぞれのボゾンに対してフェルミオンの相手方が、それぞれ存在する、というものです。物理学者は何にでも対称性を見出すのです。これらの相手方は、スピンがħ/2だけずれているほか、質量も大きく異なりますが、数式上は対称なものとして扱えます。表の左側がこれまでお話ししてきた通常の素粒子とそのスピンの大きさで、右側がそれらの相方であるはħのちょうど半分、ħ/2です。ニュートリノのスピンの大きさもħ/2です。第4回で、電子やニュートリノを含めた、物質を構成する一二種類の素粒子を紹介しましたが、それらのスピンの大きさはすべてħ/2です。ついでに言うと、それらの反粒子のスピンの大きさもすべてħ/2で、ただし粒子とは回転方向が逆向きになっています。第16回で、力を伝える粒子についてもお話し、光も電磁波を伝える粒子のことだと説明しました。これら、強い力を伝えるグルーオン、電磁波を伝えるフォトン(光)、弱い力を伝えるウィークボゾン(WボゾンとZボゾン)、重力を伝えるグラビトンも決まった大きさのスピンを持っていて、その大きさは、グルーオンとフォトンとウィークボゾンはħ、グラビトンだけ2ħです。また、第17回でお話しした、「質量を与える素粒子」であるヒッグス粒子のスピンの大きさは0です。言いかえれば、これだけ自転していません。このように素粒子のスピン「量子力学の始祖」であるマックス=プランクの名前を冠したこの定数は、エネルギーなどの基本定数となっています。たとえば、光(電磁波)が持つエネルギーは、その周波数にプランク定数をかければ求められます。神戸のラジオ局であるKiss FMの周波数は89.9 MHzですが、これにプランク定数(6.63×10-34 Js)をかけた値、5.96×10-26 Jが、Kiss FMがみなさんのラジオに向けて発信している電波ひとつあたりのエネルギーです。スピンの大きさ(角運動量)も、このプランク定数を基にして表現されます。ただし、このプランク定数を2π(πは円周率)で割った、「換算プランク定数ħ(1.05×10-34 Js)」の何倍か、で表わされます。そして、これが重要なのですが、ラジオの電波の周波数は総務省に認められればどんな周波数でも選べますが、スピンの大きさは、粒子によって決まっているだけでなく、そのヴァリエイションも数種類に限られているのです。たとえば電子のスピンの大きさ69
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