前回は、暗黒物質の候補を挙げました。でも、ニュートラリーノだとかアクシオンだとか言われても、それが何なのか、さっぱりわかりませんよね。そこで、今回はニュートラリーノ、次回はアクシオンについて、どんなものなのか説明しましょう。それらそれぞれの解説をお読みいただければ、同じ「冷たい暗黒物質」と言っても、随分違うものだということがおわかりいただけると思います。ずいぶん前にさかのぼりますが、第7回で、スピンの話をしました。素粒子の自転のようなものでしたね。そのスピンには、大きさ(角運動量)と向き(左巻きか右巻きか)とがあると説明しましたが、その後、反物質やCP対称性の話などをしたときには、向きに注目して話を進めていきました。今回は、その大きさのほうに注目してみましょう。物理学には、あらゆるものの基本となる定数というものがあります。たとえば光の速度や電子の電荷量(電気素量)がそうです。その七つの基本定数のうちのひとつに、「プランク定数」というものがあります。多田先生!素粒子物理学者の 宇宙物理学教室教えて 連載〜第27回〜 ニュートラリーノ自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!68
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