を見つけて、その人が一体何を考えているのかと思ったり。たった今、進行している舞台から離れて、心は劇場の外の様子、プライベートに関心が向いているのではないか、俳優の顔をじっくり見ていればわかります。まぁ、自分にスポットが当たっていない時は、それなりに明や、舞台全体の人物の配置がちゃんとバランスがとれているかどうか、また舞台上の複数の俳優の動きが、隅々まで、ピタッと動きやセリフと一体化しているかどうか。その他、大勢の俳優の何人かは手抜きの演技をしている、ケシカランと思ったり、自分のセリフがない時に、一服して遊んでいる者手抜きをするのも、演技の内であるが、相当の名優でなければ、そんな器用なことはできません。能の世阿弥は、舞台に立った瞬間に「今日の客はスジがいいか悪いか」を読んで、その日の客のレベルに合わせてお芝居をしたのであります。何も隅々まで全力投入する必要はないのです。その時尾上右近自主公演 第九回 研の會(2025)© Tadanori Yokoo21
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