KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年9月号
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す。数か月かけて制作された壁面状のレリーフには等身大の人物が何人も登場します。2020年に東京メトロ銀座線虎ノ門駅に設置されたパブリックアート「白い虎が見ている」に似た系統の作品です。ただ、虎ノ門の作品は平らな壁面に設置されたものですが、今回は内側にカーブしています。また、これまではモチーフに色が塗られていましたが、今回は彩色も施されていません。白いままの石膏の中に存在するかたちは、陰影によってのみ見出すことができます。本展は、彫刻作品に直に触れることで、新たな鑑賞の機会を創出することをねらいとしています。今回の作品は、現実の世界とは異なり、かたちが反転しているゆえに、触覚においてもすんなり把握できるものではないでしょう。その意味では、全ての人にとって新しい体験となりそうです。存在の確かさと共にある不確かさに直に触れ、美術鑑賞のあり方について思いを巡らせてみてください。(学芸員・遊免寛子)■神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1■TEL.078-262-1011■休館日:月曜(祝日・振休の場合は翌平日)■開館時間:10:00-18:00(展示室への入室は17:30まで)兵庫県立美術館HYOGOPREFECTURALMUSEUMOFART中谷ミチコ《影、魚をねかしつける》部分2025年、石膏作家肖像美術の中のかたち─手で見る造形中谷ミチコ 影、魚をねかしつける兵庫県立美術館 常設展示室5 9月5日(金)~12月14日(日)※閉室日等はホームページをご覧ください。※障害者手帳等をお持ちの方とその介助の方1名は無料です。15

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