病リウマチの治療方針決定には病理診断科の確定診断が非常に重要です。他の領域や診療科との枠を超えた治療のためにリウマチセンターを立ち上げ、外来ではリウマチ専門医と整形外科医が背中合わせで診療にあたり、相談協力しながら治療を進めやすい環境を作っています。―自己免疫疾患の予防はできるのですか。関係するいくつかの因子は分かっています。例えば喫煙が悪い影響を与えていること、歯周病があるとリウマチになりやすいということなどが解明されていますが、完全に予防できる段階には至っていません。良い食事習慣と適度な運動習慣、ストレスをためない…一般的な病気予防と同じですね。Q.大学で学生さんを指導するにあたって心掛けておられることは?A.分かりづらくて、取っ付きにくく、また診断が複雑で難しい領域です。しかし慣れてくるとおもしろさもあります。できるだけかみ砕いて説明して、伝わるようにしています。Q.ご自身の健康法やリフレッシュ法があれば教えてください。A.週に何回かは筋トレやランニングなどで汗をかくようにしています。屋外では良い靴を履いて、土や芝生の道を選んで走るようにしています。コンクリートの道は膝を傷めてしまいます。皆さんも気を付けて、やり過ぎないように適度な運動を心掛けてください。Q.自己免疫疾患を専門にされた理由は?A.学生時代は、治療よりも診断に興味を持ち、実は病理診断科に行くつもりでした。伊藤(智雄)先生のところへ挨拶にも行ったのですが(笑)。研修先にたまたま、先ほどお話しした生物学的製剤のTNF阻害剤治療を受けておられるリウマチ患者さんがおられました。関節のひどい痛みに苦しんでおられた患者さんが、点滴をした翌日には歩いておられる。治療効果が出ている様子を見て「すごいなあ」と思い、膠原病に興味を持ちました。Q.岡野先生はなぜ医学の道を志されたのですか。A.小学生のころ、親が持っていた『ブラック・ジャック』を読んで、「おもしろそうだなあ」と思った記憶はあります。中高生になったころ明確に「医者になろう」と思ったのですが、なぜなのかは覚えていないんです。Q.病院で患者さんに接するにあたって心掛けておられることは?A.誰もが自分の症状のことはよく分からないものです。例えば患者さんが「胃が痛い」と訴えておられても、実は腸や膀胱の病気かもしれません。お話をよく聞いて、正しい診断ができるように心掛けています。岡野先生にしつもん103
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