神大病院を受診したらお世話になることが多々あるはずだけれど、先生方には直接お会いする機会はない病理診断科。どんなことが行われているのでしょうか。その役割や診断方法など、伊藤智雄先生にお聞きしました。―病理診断科とは?診断は臨床診断と病理診断の2種類に分けることもできます。「臨床的に得られる情報に加えて、組織学的な検討が必要な場合には病理診断が不可欠です。特に良性か悪性かの判断が必要な腫瘍は病理で確定診断を出します。また手術などで人体から切り離されたものは原則すべて病理診断をします。―切り離されたものとは?よくあるケースでは、皮膚科で切り取ったほくろやちょっとしたできもの、最近多いのは内視鏡を使う「ポリペクトミー」という手法で切除した大腸にできたポリープなどは全例で病理診断をします。良性だと思われていたものが病理診断の結果、悪性だったということも時折あります。―腫瘍が悪性か良性かを診断するのが病理診断なのですか。それだけではなく、ネフローゼ症候群では腎臓から、肝炎なら肝臓から取り出された検体を病理で診断をし、病態を特定します。体のあらゆる場所が病理医の診断対象になりますよ。非常に緊急の対応が求められることもあります。例えば、肝臓の移植手術で何らかのトラブルが起きた場合は緊急肝生検を行って、拒絶なのかその他に原因があるのかなど調べ、その日のうちに病理診断をします。腫瘍、感染症、炎症性疾患、代謝性疾患、変性疾患などなど…病理医の診断する場面は大変多いのです。ところが、ほとんど知られていないのは日本の問題だと思います。―臨床診断ができない場合、体の中からどんな方法で検神大病院の魅力はココだ!Vol.45神戸大学医学部附属病院病理診断科伊藤 智雄先生に聞きました。86
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