Q.花火大会という目標をもって、高校生たちが少しずつ上を向いていく物語でもあります。子どもって自分の限界点を決めてしまうところがありませんか?「ここまで」と決めて勝手に諦めちゃう。限界点を大人が決めてしまうこともある。けれど、周りの人を巻き込むと、ひょんなことから何かが始まることもあります。それが今回、花火につながるんですが…。限界点なんて決めないでいい、ひょんなことってあるんだよ、と若者には伝えたかった。Q.紅子の場合は深刻です。彼女はヤングケアラーですが、世の中には彼女のような子がいっぱいいます。けれど家庭内のことなので、自分からSOSを言ってもらわないと外から気づくことは難しい。がんばってしまう子って「しんどい」が言えないんです。社会においては彼らも“見守られるべき”子どもであって、それを伝えなければいけないし、気づかせてあげなければいけない。これは大人が考えるべき課題です。Q.主題歌はそんな紅子にぴったりですね。音楽を担当してくれた村松崇継さんは前作でもお世話になった、信頼している方です。あるとき、村松さんから「紅子の心情を吐露したような歌詞だから聴いてみて」と聴かされたのが手嶌葵さんが歌う『風につつまれて』でした。素晴らしい!紅子の歌だ!と思いました。劇中の村松ワールドから自然な流れでエンディング。奇跡と言える出会いでした。山田洋次監督のもとで長年、助監督、脚本を担当。Q.山田監督ってどんな人ですか?いつだって映画ファースト。『男はつらいよ』は、だいたい1年に38
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