食住が満たされたら、人間らしい思い、優しさ、豊かな感性が大切。それによって平和が築かれ、戦争なんか起きないはずだと。では、どうすれば良いのか?創業者は、文化芸術に触れる機会を増やしたいと考えていました。その想いが伊藤文化財団設立につながったのですね。晩年は地域社会への貢献にも力を注ぎ、まずは自身を育ててもらった兵庫に何かご恩返しができないかと相談したところ、県の担当者から「兵庫県立近代美術館(現・兵庫県立美術館︶に絵画を寄贈する財団の設立はどうでしょうか」とアドバイスを受けたそうです。準備を進め、創業者が亡くなった1981年にその遺志を継ぎ、財団法人伊藤文化財団(2012年、公益財団法人に移行︶設立に至りました。今年3月の時点で、絵画・彫刻等に関しては基本的には兵庫県にゆかりのある作家を中心に作品929点、美術関連図書等に関しては5761点を寄贈しています。常設展だけでは観覧者の足が美術館から遠のいてしまいます。そこで、年4回の特別展やコレクション展などの開催を助成しています。一人でも多くの方に美術館に足を運んでいただける機会をつくることが創業者の想いを受け継ぐものと考えています。県立高等学校吹奏楽部へ楽器寄贈というのはどういった経緯で始められたのですか。2021年、設立40周年を迎え、財団内では兵庫県立美術館への絵画寄贈と展覧会助成だけでいいのだろうか、美術だけが文化ではない、音楽でも貢献できないだろうかなど意見があがりました。そこで、兵庫県教育委実質的な伊藤ハム創業の地に設立された伊藤傳三記念館32
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