公演準備のために佐久間は、指揮者の西本とともにこのホールへ。「実際にホールの中を自分の足で歩き、舞台や観客席の様子をじっくりと見て、朗読の構想を練りたいと思い、訪れました」取材を行ったのは同ホールの楽屋。姿見を背に、丁寧に質問に答えてくれる佐久間の頭の中は、すでにコンサート当日を想定し、「どう演じ、ど 新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも創作者たちが大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに創作秘話を聞きにゆこう。 第57回は、昭和の映画史にその名を刻み、現在も舞台などの第一線に立ち続ける〝銀幕のスター女優〟、佐久間良子の登場です。 どこまでも声を届かせてみせる…憧憬の地・芦屋で初めて挑む〝言葉と音の競演〟THESTORYBEGINS-vol.57■女 優■佐久間 良子さん⊘ 物語が始まる ⊘芦屋市で暮らした文豪、谷崎潤一郎が執筆した小説を原作に、1983年に映画化された『細雪』で佐久間は主演を務めた。今年10月4日、芦屋市の文化・芸術の発信拠点『ルネサンスクラシックス芦屋ルナ・ホール』で開催されるコンサートの舞台に、佐久間は立つ。タイトルは『佐久間良子《音と言葉で紡ぐ 心の四季》西本智実 芸術監督 指揮』。憧れの街を訪れ「東京で生まれ育った私にとって、関西地方の〝この地〟は長年、憧れを抱いてきた場所なんです」憧憬の思いを込め、佐久間良子が口にした〝この地〟とは兵庫県芦屋市のことだ。「芦屋ゆかりの映画にも出演していますので、今年秋、芦屋のホールの舞台に立てることは、とても光栄で、楽しみです」文・戸津井 康之撮影・服部プロセス22
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