KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年8月号
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に残っています。物心ついた頃には父と違う形で能と向き合いたいという向上心が芽生えてきました。それが人生の指針になっています」と少し照れた様子で舞台を見渡した。●形無しと型破り現在、日本全国を巡る日々。「丹波篠山国際博ではプロジェクションマッピングとコラボレーションしたり、厳島神社の鳥居前で限定公演をしたりと、多様な演出で能に挑戦しています。最近ではインバウンド向けのイベントも増えております」。大切にしている言葉は“形無し”と“型破り”。型を理解しないまま挑戦するのではな第8回■今回の待ち人上田宜照さん(能楽師)昭和63年5月28日 能楽観世流上田拓司の長男として生まれる。父・上田拓司、伯父・上田貴弘に師事。平成2年8月19日、2歳にて初舞台以降、数々の舞台を務める。ベルギー国王フィリップ陛下御観覧公演やルーマニア「シビウ演劇祭」など多数の海外公演にも参加。兵庫県を舞台に業界で活躍する芸能人、文化人、アスリートを出入口で突撃取材!!    編集 岡力 中西若菜温故知新の心で型を破る!夙川から世界に向けて能楽の魅力を発信(写真左:上田顕崇 能楽観世流シテ方準職分)●夙川の辺りに佇む 能楽堂今日の舞台は、阪急夙川駅。川のせせらぎに耳を傾けながら目的地へと向かう。やって来たのは『夙川能舞台 瓦照苑』。背筋を伸ばしインターホンを鳴らすと、今回のターゲットである能楽師・上田 宜照さんが「こんにちは」と笑顔で迎え舞台へと案内してくれた。現在、本業にとどまらずイベントや講演会と精力的に活躍している。緊張の面持ちで録音ボタンを押しインタビューを開始した。●同じ道を歩む父親の背中「やんちゃで口が達者な子供でしたね」と幼少期を振り返る上田さんは神戸市出身。「初舞台は2歳の頃でした。当時の記憶はありませんが、父が手を取って歩かせながら褒める姿が今でもビデオ116

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