KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年7月号
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みなので、誰のせいでもない出来事です。一方、2つある遺伝子の両方とも働きが悪いと発症する疾患では、働きの悪い遺伝子を父から1つ、母から1つ受け継いで、お子さんの遺伝子が2つとも働きが悪いと発症します。親は働きの悪い遺伝子を1つ持っていますが、もう1つの遺伝子が正しく働くので発症しません。そんな皮膚疾患に「潜性遺伝性栄養障害型表皮水疱症」があります。―潜性遺伝性栄養障害型表皮水疱症とは?皮膚は、「真皮」と呼ばれるコラーゲンの層の上を「表皮」と呼ばれる細胞の層が覆っています。表皮と真皮を繋いでいる7型コラーゲンの遺伝子が2つとも働かないと、真皮と表皮の結合が弱く、肌が擦れるだけで表皮がべろんと剥がれて、真皮がむき出しになります。皮膚だけでなく、口の中や食道の粘膜も剥けてしまい、さらに組織が縮んで食道が狭くなって固形物を食べられなくなり、剥けた皮膚伝子とを1つずつ持っていて、お子さんにはどちらか片方が伝わるため、50%の確率で遺伝します。ただし、遺伝子にはしばしば新しい変化「突然変異」が起こるので、健康な両親からレックリングハウゼン病のお子さんが生まれてくることも多いです。それは両親のどちらかに原因があるとか、妊娠中に何かしたとかいうものではなく、突然変異は生物に備わったそもそもの仕組85

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