神大病院皮膚科では専門的に診てもらえなくて患者さんが困っている希少疾患の診療が行われています。「正しい診断を届け、治療や生活サポートに結びつけたい」と言う久保亮治先生にお話を伺いました。―皮膚科の診療領域は?肌あれや炎症性の疾患から、皮膚がんや感染症のような死に至ることもある疾患まで、皮膚科で診る疾患の種類は皆さんが想像されるよりも遥かに幅広く、患者さんの年齢層も幅広いです。私は皮膚に症状が出る希少な遺伝性疾患や生まれつきの症状が専門ですので、赤ちゃんや子どもの患者さんが多いです。遺伝子の変化が原因で起こる疾患が何百とあり、患者さんの数は少ないのですが、専門に診てもらえるお医者さんがほとんどなく、どこに行けばいいのか分からず困られています。どんな症状、どんな疾患の患者さんでも早く、正しく診断をして、良い人生を送れるように最善のサポートをしてあげたいと思っています。―親が発症している疾患は子どもも必ず発症するのですか。親から子に50%の確率で伝わる疾患もありますが、子に伝わらない疾患も多いです。逆に、全く健康な両親から生まれつきの疾患を持った子が生まれてくることも多いです。何らかの生まれつきの疾患や先天異常を持って生まれてくる赤ちゃんは、世界的にみて約3〜5%です。医学を学べば学ぶほど、健康に生まれてくるのは奇跡なのだと思うようになりますね。人は基本的にそれぞれの遺伝子を2つずつ持っています。父から1つ、母から1つ受け継ぎます。ある遺伝子の片方の働きが悪いと発症する「顕性遺伝性疾患」と、両方とも働きが悪いと発症する「潜性遺伝性疾患」の2つが主です。皮膚科が関わる疾患でよく知られているレックリングハウゼン病(神経線維腫症Ⅰ型) は前者です。NF1という遺伝子が関わる疾患で、患者さんは問題のないNF1遺伝子と、病気の原因となる変化を持ったNF1遺神大病院の魅力はココだ!Vol.44神戸大学医学部附属病院皮膚科久保 亮治先生に聞きました。84
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