を引き受けて家具や器などに加工している。かつて船大工の仕事場だったという港の工場が森とつながり、山の保全にも貢献しているのだ。木工では切る、削る、磨くなどの作業にさまざまな機械を使うが、これらが壊れたら生産が止まってしまうのでいち早い復旧が必要となる。こういう時に頼りになるのが近くの修理業者だ。エフマシンは木材加工機械の〝お医者さん〟、健康診断(=点検)から救急(=突然の修理)にも対応する敏腕エンジニアの工房も今回開放しているが、修繕業ゆえ工場見学ではなくワークショップを開催。つくっているのはなんと時限爆弾!のようなキッチンタイマー。みんな和気藹々と楽しそう。その存在すら一般的には知られていない仕事ゆえ、木工機械をデザインしたTシャツやオリジナルのスツールを販売するなど、街の人とのコミュニケーションに熱心だ。ユニークなワークショップはほかにも。新長田のうなぎの名店、西村川魚店では、うなぎ捌き体験を実施。職人が涼しい顔で簡単にやることも、素人さんにはかなり難しいようで大苦戦。このような企画はさまざまな出会いの機会を創出、開工神戸は〝邂逅神戸〟でもあるのだ。震災の惨劇から甦った長田や兵庫に、生産の鼓動がこだまする。その現場に足を踏み入れると、そのモノに込められた「モノがたり」に感動すること数知れず。特にモノを生み出す職人の動きの正確さを目の当たりにすると、神が創造主なのではなく、創造主が神なのだと感じる。そしてこの街の作業場ではMAR_U六甲山をはじめ神戸の山林で伐採された木を若いクリエイターが製造から一貫して手がけるクリエイターチーム。兵庫区にある工房を訪問し、モノづくりの現場を体感MAR_U 代表山崎正夫さん70
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