ています。「Evolution」とついているように、たんに暗黒物質の分布を調べるだけでなく、それによって宇宙がどのように進化していったかを研究するのが目的です。第14回でもお話しした通り、観測する場所が遠いほど、時間をさかのぼって「過去」を観測していることになるからです。ひじょうに素晴らしい計画ではあるのですが、一点だけ、「COSMic evOlution Survey」の略称が「COSMOS」なのは、相当無理があるでしょう笑笑いっぽう、ある銀河だけ、ある銀河団だけ、というような特定の領域だけの分布ではなく、「宇宙全体でどれくらいの暗黒物質があるか」という「丼勘定」でよければ、ほかにも算出方法があります。第18回で、観測事実として宇宙は驚くほど平坦であるということ、そしてそのためには宇宙空間を平坦にするための質量密度が、臨界密度という値ぴったりでないといけない、という話をしました。また、第21回では、宇宙初期にインフレイションがら二〇〇人以上の天文学者が参加し、二〇〇七年に最初の暗黒物質三次元分布を発表して以降、今でも続けられ天文施設を使い、前回お話しした重力レンズ効果を用いて宇宙の暗黒物質の分布を調べるものです。世界一二か国かCOSMOSによる暗黒物質の三次元分布の例 NASA/ESA/Richard Massey (California Institute of Technology)59
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