KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年7月号
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前回は銀河の中の暗黒物質の話をしました。その候補のひとつは、MACHOと呼ばれる、ハローの中に存在する、可視光では見えない天体でした。しかし、その観測結果からは、銀河全体の質量分を説明できないことがわかりました。今回は、その範囲をもっと広げて、宇宙全体でどれだけの暗黒物質があるのかを考えてみましょう。宇宙全体でどれくらいの質量があるのかは、多くの人が興味を持つところで、それを観測から割り出そうという計画はすでに行われています。そのひとつが「Cosmic Evolution Survey」と呼ばれる観測です。これは、ハッブル宇宙望遠鏡を中心として、それ以外の人工衛星に積んだ望遠鏡や地上の望遠鏡など世界中の多田先生!素粒子物理学者の   宇宙物理学教室教えて 連載〜第25回〜 宇宙の暗黒物質自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!58

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