KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年7月号
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ともあります。頭のいい子で僕のことが大好きで、なのにおっかけっこすると前足だけで体をくねらしながら逃げていくのが面白くて脅かしたこともあります。子どもって残酷っていうか、僕が残酷なんですね。そうやってハーハー言って疲れてても、僕が呼ぶとニコニコそばにくるんです。だから夜中に、無事かどうか玄関までそっと見に行ったりしました。ある日、食べ物が詰まって死にました。瞳の澄んだ子で今もくっきり顔が浮かびます。庭に埋めたんじゃなかったかな。ジャッキーは長生きで20年くらい生きましたが、死ぬ時は高い塀を飛び越えて外へ逃げていきました。今思うに、死に場所を探してたんじゃないかな。ジャッキーの末裔のアッコは母のお気に入りで、ずっと家にいて母が抱っこしてました。でも僕だけに懐かないんです。80年代、90年代、帰阪し家に帰り、リビングでくつろぐ母に近づこうとすると何度も噛まれました。犬には苦い思い出があるので、僕の犬との出会いは小学校4年。柴犬の雑種(メス)が学校帰りにずっとつけてきて、みんなにヤイヤイいじられてたのを僕が助けたのです。すると引き戸が開いたクラスの外でずっと僕を待っていて、一日中僕を追い、なんと学校帰りについてきてそのまま大江家の犬になったのです。ジャッキーと名づけました。彼女は丸いものを恐れてました。ドッジボールとか僕が始めると道路の溝に隠れてしまうのです。よっぽどいじめられたトラウマがあったんだと思います。ジャッキーのために父が日曜大工で家を建てました。ジャッキーは子どもをいっぱい産みました。何度かお産したので僕が住むニュータウンにはジャッキーの子孫がどんどん増えていきました。うちで面倒見てたのはジャッキー、息子の太郎、父違いの娘アニー、娘2アッコ、などなど。今思えば辛い経験もしました。「捨てておいで」と言われ生まれたばかりの子犬をジャッキーから引き離し、段ボールに入れて遠くまで捨てに行ったこともあります。妊娠してるジャッキーと遊んでてお腹を打たせてしまい、後ろ足が麻痺した犬が生まれたこ6通のブルックリンからの手紙犬について4通目26

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