KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年7月号
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2017年、芸能生活60周年の節目には一人舞台『キャサリン・ヘプバーン~五時のお茶~』に挑んだ。ハリウッドの名女優を演じた十朱は、「年齢を重ねたヘプバーンの不安が、日本の女優として年を重ねてきた私には理解できる」と、当時74歳の自分と彼女の人生とを重ね合わせた。通算45回、お雪を演じてきた十朱だが、「舞台は毎回違う。一度として同じお雪を演じてたことはありません」と強調した。今年、お雪を演じる意義について問うと、「女性の自立が認められなかった時代をお雪は生きた。生きる時代が早すぎたのかもしれません。今の時代なら、強い信念を持つお雪の生き方は、より共感してもらえるのではないでしょうか」と期待を込めた。「お雪を演じるのは、これで最後」と語った言葉にも、これまでと違う覚悟を漂わせる。次に十朱が挑むヒロイン像に興味は尽きない。2年後には女優デビューから70周年という大きな節目も迎える。「90代や100歳になっても活躍している人たちがたくさんいます。そんな人たちを見ていたら、私は元気だし、まだ82歳じゃないか、と思うんです」映画にテレビ、舞台…。15歳から様々な役を演じてきた。「もうやり尽くした?いえいえ、まだまだやり尽くしたなんて思っていませんよ」と笑みを浮かべた表情に〝生涯女優〟を貫く十朱の強い信念と覚悟がにじみ出た。んです。浅丘ルリ子さん、芦川いづみさんがその候補に挙がったのですが、お二人とも都合がつかず、私に出演依頼が来たんですよ」映画『地獄の掟に明日はない』(1966年)では高倉健と共演した。「私は身長が約162センチあり、当時、女優のなかで背が高かったから、ハイヒールをはくと長身の石原裕次郎さん、高倉健さんと並んで立ったときにバランスが良かったみたいで…。他の男優の方だと私の方が背が高くなることもあったから」と振り返る。舞台にも精力的に出演。公式サイト『燃えよ剣』~土方歳三に愛された女、お雪~日時:2025年7月20日(日)13:00開演 (12:00開場)会場:森ノ宮ピロティホール原作:司馬 遼太郎(新潮社)演出:笹部博司出演:十朱幸代音楽・演奏:宮川彬良24

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