奈良・春日山は古くから神奈備山(かんなびさん)として崇敬され、特に平城京遷都以後は朝廷から尊ばれました。神奈備は、神が鎮座するという秀麗な山を指します。768年(神護景雲2年)に藤原永手が祖父・不比等ゆかりの春日山のふもとに氏神である春日大社を創建しました。天皇や上皇の崇敬が篤く、また藤原氏の氏神であり関白を始めとする多くの貴族が参拝し、数多くの品々が神様へ奉納されました。12世紀ごろからは、新たな支配者層となった武家も、武芸向上や勝負運の御利益を求めて崇敬します。奉納された文化財は国宝・重要文化財を合わせ約3000点におよび、その点数と質の高さから春日大社は「王朝文化の殿堂」といえます。中でも大鎧はひときわ目を引きます。日本の甲冑は大鎧(おおよろい)、胴丸(どうまる)、腹巻(はらまき)、当世具足(とうせいぐそく)などの様式があり、これらは金工、漆工、染織など複数の分野にまたがる工王朝文化の殿堂で、国宝大鎧の“美”に酔う春日大社 国宝殿 「究極の国宝 大鎧展」青森県 櫛引八幡宮 国宝 赤糸威鎧(菊一文字の鎧兜) 通期展示114
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