右肺は上葉、中葉、下葉という3つの部屋に分かれ、縦郭左側に心臓があるため幾分小さめの左肺は上葉、下葉という2つの部屋に分かれており、肺がんの切除手術が行われるようになった1960年ごろから、癌が発生している葉全体を切除する「葉切除」が標準手術として続けられてきました。癌の部分だけを小さく切除すると失われる肺機能は最小限に抑えられる一方、残った部分との境界辺りから癌が発生する危険があるためある程度の範囲で周りを切除する必要があり、機能を残すのか根治を目指すのかは患者さんの肺機能や体力などを考慮して胸部外科医に判断が委ねられてきました。3年ほど前から、小型の肺癌であれば区域ごとの切除で良いという考えが主流になってきました。左右5つの葉はそれぞれが幾つかの区域に分かれ、全18区域で肺が構成されており、2センチ以下でⅠ期のがんを対象に「区域切除」を取り入れています。例えば、3区域に分かれる右肺上葉で、条件に当てはまる癌で99
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