呼吸器外科分野の中でも肺癌の治療法は目覚ましく進歩しているそうです。低侵襲手術で体力を温存し、集学的医療で機能を維持しつつ根治を目指す。詳しいお話を田根慎也先生にお伺いしました。―呼吸器外科で治療をするのは体のどの部分ですか。治療を受けておられるのは主に肺癌の患者さんですか。気管から肺、横隔膜と肺に囲まれた縦郭内が診療範囲です。ただし食道は食道胃腸外科、心臓と大血管は心臓外科の範囲ですのでそれ以外の部分に発症する疾患です。神大病院に来られる肺癌の患者さんの3~4割程度が肺癌の手術治療を受けておられます。―肺癌の患者さんの主な治療法は外科手術ですか。一般的に肺癌の15パーセントが小細胞癌、85パーセントが非小細胞癌といわれています。小細胞癌はリンパ節等に広がりやすく、局所療法である外科手術で根治を目指すには限界があります。たとえⅠ期であっても、術後は効果が得やすい抗がん剤による化学療法や放射線治療を併用するケースがほとんどです。一方、非小細胞癌はⅠ期からⅢ期までは手術が主な治療法です。―手術だけで根治が可能なのですか。非小細胞癌は、転移がないⅠ期、気管支から左右それぞれの肺への入り口である肺門のリンパ節に転移しているⅡ期、さらにリンパにのって気管支を上へと遡りリンパ節に転移しているⅢ期、骨や脳、肝臓など他の臓器へ遠隔転移しているⅣ期という4段階に分かれます。Ⅰ期とⅡ期の段階であれば手術で根治を目指すことが可能です。Ⅲ期の段階では手術だけでは難しく、抗がん剤や放射線治療、免疫療法などを組み合わせます。転移が進んでいるⅣ期では局所手術は行わず、化学療法や放射線療法による全身治療が行われています。―手術では肺のどの部分を切除するのですか。神大病院の魅力はココだ!Vol.43神戸大学医学部附属病院呼吸器外科田根 慎也先生に聞きました。98
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