KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年6月号
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JOBK 100年「桂米朝 なにわ落語青春噺(ばなし)」6月21日(土) 19:30~20:42<関西地方>米團治さんが出演しますその翌日、米團治は高座へ上がり、米朝の十八番『地獄八景亡者戯』を披露した。地獄に「桂米朝、本日来演」の看板があったり、地獄の寄席に現れた米團治に向かって「ここに来るのは百年早いわ。娑婆でもっと修業せい」と即興で観客を笑わせた。悲しみをこらえ、父の死をも笑いに昇華させ、遺された者の生きる意味、希望を問うて見せたのだ。どんな心境だったのかが知りたかった。「何が起きても公演は休めません。父の死は報道によって多くの人が知っている。それなら、こう演じるしかない…でしょう」国宝の父を持つ〝世襲の宿命〟を背負った落語家の強い覚悟を感じた。公演をこなし、その翌週は東京で講談師、神田伯山と共演し、その翌日は同じく東京で桂米朝一門会の高座をこなしていた。父の米朝が上方落語の再興に奮闘した、その足跡を辿るように、今、自らが一門の先陣を切って上方落語界を牽引している。2015年3月、米朝は89歳で死去した。写真左から、笑福亭鉄瓶さん(笑福亭光鶴 役)、桂吉弥さん(桂米朝 役)、桂米團治さん(四代目桂米團治 役)戦後存亡の危機にあった上方落語を救い、芸を極めた落語家・桂米朝の生誕100年にあたり、生年と同じ1925年に開局したJOBK(現大阪放送局)との関わりと共に足跡をたどります。上方落語の豊かな歴史をお楽しみください。桂米團治さんの出演情報はこちら桂米團治ホームページ米朝事務所ホームページ取材協力:神戸新聞松方ホール神戸新開地・喜楽館25

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