KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年6月号
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THESTORYBEGINS-vol.55■落語家■桂 米團治さん後の2028年には、落語家として初舞台に立って以来、50年の節目を迎える。遡ること47年前の1978年8月。父、米朝に入門したのは19歳のときだった。このときの秘話を教えてくれた。「高校3年生のときに落語家になりたいと父に伝えまし 新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも創作者たちが大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに創作秘話を聞きにゆこう。 第55回は上方落語界を牽引する落語家、桂米團治が登場。今年、生誕100年を迎えた人間国宝、桂米朝の長男として、父が再興した上方落語の歴史を振り返るとともに、上方落語の未来について熱く語った。国宝の父が築いた一門を背負い…上方落語に捧げた半世紀⊘ 物語が始まる ⊘が二人の仲を取り持ち、よりを戻す物語である。神戸新聞松方ホール(神戸市中央区)を埋めた700人を超える満員の観客から大きな笑い声を浴びながら話す、円熟味増すその豊かな表情に、父、米朝の面影が重なって見えた……。貫禄をたたえた66歳。3年『小米朝』誕生秘話「歌舞伎や能の世界は世襲ですが、落語の世界は世襲制ではありません」こんな〝まくら〟から、この日の落語は始まった。披露したのは家族愛を描いた人情噺。演目は『子は鎹かすがい』。一度は別れた夫婦。子ども文・戸津井 康之撮影・服部プロセス20

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