物は、スタートからゴールまでのプロセスの時間のみが、建築の生存期間である。というプロセスこそが創造であるということを、自らの建造物によって教えられたのです。この気づきは、僕の全創造作品の根幹をなしています。創造における完成は、全て幻想であり、創造の生存時間はプロセス以外にはないという考えの上に立つことになりました。そしてこの考えは、その後、画家に転向してからも、僕の横尾忠則現代美術館美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、東京都名誉都民顕彰、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』ほか多数。2023年文化功労者に選ばれる。横尾忠則現代美術館では、現在『横尾忠則の肉体派宣言展』開催中です!グッチ銀座 ギャラリー「横尾忠則 未完の自画像-私への旅」初公開となる自画像や家族の肖像などの最新作に加え、1970年の大阪万博で話題を呼んだ『せんい館』をイメージしたインスタレーション作品も展開されています。会期:8月24日(日)まで〈予定〉会場: グッチ銀座 ギャラリー 東京都中央区銀座4-4-10 グッチ銀座7階世田谷美術館「横尾忠則 連画の河」和歌を詠み合う連歌のように、昨日の作品から導かれるまま今日の作品を描く。2023年春から制作された60点が、悠々とした大河のように展示されています。会期:6月22日(日)まで会場: 世田谷美術館 東京都世田谷区砧公園1-2創作の基本的理念となっています。以前にもこの欄で書いたかと思いますが、人間は誰もが未完のまま生まれてきて、完成を目指すのですが、大方の人は未完のまま生涯を終えるのです。つまり人間は未完のままで生まれ、未完で死ぬのです。従って、輪廻転生という宇宙的法則が人間に与えられているのです。『横尾忠則 未完の自画像-私への旅』展(現在開催中)19
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