KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年6月号
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ヘット・ドルプ~オランダの身体障がい者の村愛の手運動は親に育てられない子どもたちに、里親・養親を求める運動です。募金箱の設置にご協力いただける方は協会にご連絡ください。公益社団法人 家庭養護促進協会 神戸事務所神戸市中央区橘通3-4-1 神戸市総合福祉センター2FTEL.078-341-5046 https://ainote-kobe.orgE-MAIL:ainote@kjd.biglobe.ne.jpHet Dorp(オランダ語で「村」という意味)とよばれるこの障がい者の村が完成したのは1966年の11月。この4年前にオランダのテレビとラジオはこの村を創るために23時間に及ぶ全国的なキャンペーンを展開し、21億円もの建設資金を集め、翌年ユリアナ女王によって鍬入れ式が行われ、オランダでは最初の身体障がい者のための“実験的な村”が建設されたのでした。この村に住めるのは18歳以上の肢体不自由者で、知的、精神面に問題の無いこと、という条件があります。身体の不自由な人たちだけを対象にした実験的な村は住民が仕事をし、生活を営むには不自由のないように住居や村全体にさまざまな工夫が凝らされています。村を歩いて驚いたのは当時の日本でなら病院か施設で寝たきりで外出できないと思われる重い障害のある人たちが自分で車椅子を操作して一人で外出している事でした。ここでは車椅子に人間を合わせるのではなく、一人ひとりの障がいにあった車椅子を特注していることでした。この村にはスーパーマーケット、郵便局、図書館、教会、レストラン、体育館、美容院、銀行、旅行代理店、ガソリンスタンドなどもあり、村の障がい者だけでなく、周りの住民にも開放され、喜ばれていました。こうした設備の多くは村の中に設置されているため、周囲の住民はこれらの設備を利用するためには村の中に入ってくる必要があり、出入りを通して住民とのふれあいが生まれることになります。この村の定員は400人で、おもしろいのは30人が1グループとなって各グループから代表者が集まり、村の運営や将来の計画を話し合い、そこで決められたことを各自が分担し、実行していくという合議制がとられていることでした。肢体不自由児施設のねむの木学園を運営していた宮城まり子さんもこの村を訪問し、感動していた映像を見たことがありますが、オランダでは初めて、おそらく世界でも初めてというこの実験的な村が半世紀経った今どうなっているのか、再度訪問してみたいところです。出会いと学びの旅から公益社団法人家庭養護促進協会事務局長橋本 明Vol.18102

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