集まる週1回の呼吸器カンファレンスで、患者さん一人一人に対する治療方針を話し合います。神大病院は伝統的に診療科間の風通しが良く、私たち医師にとって仕事がやりやすく、ひいてはそれが患者さんにとっての良い環境に繋がっていると思います。田根先生にしつもんQ.田根先生はなぜ医学の道を志されたのですか。A.家族は代々教師だったのですがそろって医学部受験に失敗しており、その意志を継ぐつもりで子どものころから期待に応えようと頑張りました。Q.ご自身の健康法やリフレッシュ法があれば教えてください。A.地図を片手に旅はなかなかできなくなってしまいましたが、学会で各地を訪れるときは必ずランニンググッズを持参し、会場周辺を〝旅ラン〟してリフレッシュしています。Q.外科を選択し、呼吸器外科を専門にされた理由は?A.私は地図を片手にいろんな所へ行くのが好きで、それが手術にも通じるところがあると思います。術前にCTなどの画像を見て体の中の地図を頭の中に入れ、実際にシミュレーション通りに手術が進めば成功です。胸腔内を旅するというイメージでしょうか、達成感が得られ、やりがいに繋がります。外科の中でもなぜ呼吸器かといえば、心臓や肺は人間が生きていくうえでエンジンの働きをしています。心臓から直接血管が繋がっている肺の手術はリスクと隣り合わせで、外科医の腕次第というところに大きなやりがいを感じています。Q.大学で学生さんを指導するにあたって心掛けておられることは?A.外科にはたくさん入ってもらいたいとは思っていますので、一番大事なことは、外科手術の喜びを知ってもらうことです。そのために、できるだけ実際に手を動かしたり、シミュレーターでロボット操作をしてみたりして、自分でできる喜びを実感してもらえるよう常に考えて指導しています。Q.病院で患者さんに接するにあたって心掛けておられることは?A.私自身が病院を受診するとき、お医者さんから掛けられる言葉が気になるタイプなので「患者さんがどんな気持ちになるだろうか?」と常に考えながら言葉を発するようにしています。客観的な事実を伝えることも必要ですので、できるだけ患者さんの立場になって伝えられるよう心掛けています。―最後に、肺がんの予防法を教えてください。喫煙者はまず禁煙ですか。禁煙は重要な予防法です。しかし最近は、主に喫煙による扁平上皮癌の患者さんは減少している一方で、非喫煙者、特に中高年女性の肺腺癌が増加しています。生活習慣が影響していると考えられますが、はっきりとした理由は分かっていません。早期の肺癌は自覚症状が出ないうえに、胸部レントゲンでは発見されないケースも多くあります。50歳を超えたころから1年1回は胸部CT検査を受けることをお勧めします。101
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