てきて詳しく検査をして診断します。エコーではがんそのものが描出されない早期のがん(上皮のみにがんが留まる場合、Stage0膵がん)は、十二指腸まで内視鏡を入れて、膵管の中に「カニューレ」という細いチューブを入れることで、膵臓の細胞を取ってくる方法を取ります。治療は主に腹腔鏡による外科手術が行われています。―膵臓疾患では内視鏡での治療は行われていないのですか。膵臓に関する内視鏡治療としては例えば、慢性膵炎が進行して膵管にできた膵石が消化液の流れを阻害し激しい痛みが出ている場合や、重度の急性膵炎の後に形成される壊死物質が多量に溜まった嚢胞状の構造がある場合などで、膵臓疾患で特に難易度の高い治療を神大病院では多く扱っています。―内視鏡は膵臓まで直接届き、治療ができるものなのですか。食道や胃の検査と同じように喉から内視鏡を入れ、十二指腸へと進み、膵臓や肝臓で作られた消化液が流れ込む「十二指腸乳頭」という部分から膵管に向けて細い管を通します。さらに膵管の中に細いカメラを入れて先へと進み映し出し、膵石があれば割ったり取り除いたりして治療を完結することも可能です。急性膵炎でできた壊死物質を含む嚢胞の治療では、胃壁から膵臓に向けて内視鏡を使って特殊な金属のステントを入れ、道筋を作りどろどろとした壊死物質を胃の中へ掻き出します。自己免疫性膵炎などの免疫疾患では膵臓が腫れますが、前述のEUS|TAという手法で診断をして、ステロイドなど内服薬による治療をします。―胆嚢・胆管については?膵臓と同じく、がんについては内視鏡による検査と診断が主です。総胆管結石や肝内結石では膵石と同じ手法を使って可能な限り内視鏡による低侵襲の治療を行っています。―肝臓については?基本的に肝臓内で直接内視鏡治療を行うことはありませんが、肝臓関連としては、肝硬変に伴う静脈瘤の治療があります。門脈を通って血液は肝臓に戻ってきますが、肝硬変が原因で肝臓が弱り、肝臓へ血流が戻りにくくなると周囲の静脈に逃げ道を作ります。その結果、食道や胃に静脈瘤ができ、最悪の場合は破裂して命にも関わります。そこで、内視鏡を用いて静脈瘤に針を刺し、薬で静脈瘤を固める処置をします。―患者さんにとって体にやさしい治療法ですね。治療前、治療後に入院などの必要はないのですか。内視鏡を用いた治療は外科手術に比べると体に負担の少ない治療になりますが、一定の合併症が起こり得る可能性がありますので、一定期間入院を要するものが多いです。―大学病院だから受けられる治療ですか。決してそういうわけではな96
元のページ ../index.html#96