KOBECCO(月刊神戸っ子2025年5月号)
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─どのような状態だとアルツハイマー型認知症が疑われますか。元木 初発症状はもの忘れですが、単に忘れるだけでなく、もの忘れをしているという認識が乏しかったり、取り繕い行動がみられたりしたらアルツハイマー型認知症の疑いがあるそうです。症状は不可逆ですが、いまはお薬で進行を遅らせることが可能ということでした。─新しいお薬についてのお話もありましたか。元木 はい。それまでのお薬は神経細胞間の伝達を促進するものでしたが、新しいお薬は原因となる異常物質の合成阻害や除去に効果があるそうです。いずれにせよ症状が進んでからでは効果が見込めないので、認知症が疑われたら早期受診を勧めておられました。また、現時点では治療薬は十分とは言いがたいが、ケアの方法を考えることで改善する点は多く、そのためにも介護負担の軽減やいろいろな症~知って得するつながりノート~」がテーマとなりました。川西市医師会では県内各市町の医師会に先駆けて平成15年から市民フォーラムを開催していますが、川西市や猪名川町は阪神間でも高齢化率が高いこともあり、これまでも高齢者の医療や健康、介護に関する話題を多く採り上げてきました。認知症をテーマにするのは2011年第9回市民フォーラム「だいじょうぶ?そのもの忘れ」以来ですが、この間に治療法の進化や新たな取り組みの開始など状況も変わってきていますので、新しい情報を紹介しつつ市民のみなさまと一緒に認知症について考える機会となりました。─基調講演の講師はどなたでしたか。元木 大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室准教授の吉山顕次先生をお招きし、「認知症とその最新治療」を演題に語っていただきました。吉山先生は、そもそも認知症とは脳の障害のために正常なレベルにまで発達した精神機能が低下した状態のことで、認知機能障害といった中核症状をはじめ、行動面や心理面でもさまざまな症状があらわれると解説されていました。また、認知症にはいくつか種類があり、疾患によって症状、治療や対応も異なってくるということです。今回は主に認知症の約6割を占めるアルツハイマー型認知症についてお話しいただきました。─アルツハイマー型認知症とはどんな認知症ですか。元木 脳の中に異常な物質がたまり神経細胞が減少する病気で、覚える能力や位置を知る能力が落ち、ゆっくり進行するという特徴があるということです。具体的には時間や場所などがわからなくなる、要領よく話せなくなるなどの症状がみられますが、古い記憶は失われず、楽器の演奏など習熟した技術は特に問題ないそうです。91

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