ですので、明るいということはそれだけ多くの恒星が集まっている、言い換えれば、多くの質量が集まっている、ということになります。これは定性的な表現ですが、実際には、恒星内部でどのような核融合反応が起こり、どのような光が発せられるか、というメカニズムまで解明されていますので、銀河の明るさの分布から、恒星の質量の分布まで計算できるのです。それでいくと、銀河は中心附近のバルジに恒星質量の大部分が集中し、周囲のディスとでしょうか。たとえば我々の太陽系は、その質量のほとんどが太陽に集中していて、最大の惑星である木星であろうとも、太陽の一〇〇〇分の一しかありません。太陽は、太陽系全体の質量の実に九九・九パーセントを占めます。これくらい「太陽一極集中」だと、重力の影響は、太陽に近いほど大きく、離れるほど小さくなります。したがって、「落ちないように必死で動く」ということから考えて、太陽に近いほど高速で、太陽から遠いほどゆっくり動くことになります。実際、もっとも内側の惑星である水星の公転速度は、もっとも外側の冥王星のそれの一〇倍です。このように、質量の分布と天体の速度の関係は、厳密に計算できます。銀河の場合は、中心附近に「バルジ」と呼ばれる巨大な輝きがあり、そこから「ディスク」と呼ばれる円盤状の構造が広がっていますが、明るさからいくと、やはり中心のバルジが圧倒的です。銀河は、太陽のような光輝く恒星の集まり量も計算できます。現代に生きるみなさんは、たとえば「太陽の質量はいくらか?」ということを、ネットにつながってさえいれば、すぐに調べられます。ところが、人類の歴史上、太陽の質量を直接測ったことがある人もいなければ、それどころか、太陽近くまで行ったことがある人すらいないのです。なのになぜ、「ぐーぐる先生」は、さも当然のように太陽の質量を教えてくれるのでしょうか。それは、太陽からの重力を受けている惑星の動きを観測することで、太陽や、それら惑星自体の質量を計算できるからです。太陽に行かなくてもその質量が計算できるなら、もっと遠くの天体、たとえば銀河とかの質量も計算できるはずです。そして、できることはなんでもするのが学者というものです。地球から観測できる銀河の回転速度を調べることで、たんに「合計でどれくらいか」だけでなく、質量の分布まで計算しました。質量の分布とはどういうこThe Great Andromeda Galaxy - M31 Galaxy "Elements of this image furnished by NASA" muratart@shutterstock65
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