KOBECCO(月刊神戸っ子2025年5月号)
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第11回から第22回まで、ビッグバンについて話してまいりました。宇宙のはじまりの謎を解いていったと思ったのに、その最後に、新たな謎が生まれてしまいました。「得体の知れない『なにか』が宇宙を支配している」という謎です。今回からは、その「なにか」について話していくこととしましょう。そのビッグバンの話の初回、第11回のタイトルは、「空はなぜ落ちてこないのか」でした。この宇宙を支配する謎の「なにか」についての話も、それを開始地点としましょう。第11回では、空が落ちてこないのは、落ちないように必死で運動しているからだ、という話をしました。サー=アイザック=ニュートンは、その運動を定量化し、運動の法則としてまとめた、ということでした。この運動の法則を用いれば、天体にかかっている力、すなわち重力がわかれば、それに引っ張られつつ運動するようす(たとえば速度)が計算できますし、逆に天体の速度からそれにかかっている重力も計算できます。重力が計算できるということは、それを生み出している質多田先生!素粒子物理学者の   宇宙物理学教室教えて 連載〜第23回〜 失われた質量自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。今月号から、謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!64

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