兵庫県立美術館では、2010年より「注目作家紹介プログラム〈チャンネル〉」として、当館が今注目する作家をご紹介する展示を続けてきました。第16回目となる今回は、新進気鋭の版画家、美術家である松元悠(1993〜)の個展を開催します。現実に起こった事件をモティーフとしたリトグラフの制作を続けてきた松元。作家は、あくまで自分が当事者になりえない「情報の受け手」であることを強調します。その上で、当事者への直接的な取材ではなく、事件の現場に自らが行ったり、法廷画家として当事者の絵を描いたりした経験を主に頼りながら、想像を交え画面をつくりだしていきます。出来上がる作品は、事件のリアルな記録というよりかは、様々な事物がとりどりに構成された独特の風景です。そんな松元が今回考えるのが「夢」というテーマ。一見すると松元の制作からは離れているかのようですが、願望でも、寝ている時の夢でも、夢はいつでも現実の整理から成り立っていると松元悠《こちらを向く足(2023/9/5)》リトグラフ・BFK紙、2024年けんびの『美』連載vol.6夢と現実 その混合12
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