KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年4月号
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尾藤先生にしつもんQ.尾藤先生はなぜ医学の道を志されたのですか。A.こどもの頃から生物学や医学に興味があり、最初は研究者を志して医学部に入学しましたが、その後医学部生時代に臨床に興味を持ちました。臨床に進んだのは家族に医師がいて身近な職業だったこと、「何か専門職の資格を持ったほうがいい」と勧められていたことが影響したかもしれません。Q.ご自身の健康法やリフレッシュ法があれば教えてください。A.健康法はヨガストレッチ、最近始めた筋力トレーニング。栄養にもできるだけ気を付けています。リフレッシュ法は犬の散歩、読書、音楽です。犬は飼い始めたばかりで大変なことが多いですが、毎日楽しく過ごしています。Q.外科を選択し、中でも小児外科を専門にされた理由は?A.まず、実際に病変を目で見て治せるという外科の分かりやすさと、一人ではなくチーム医療を行う外科系の診療科が、スポーツに打ち込んでいた体育会系の私には合っていると思ったのが主な理由です。                 小児外科を選んだ理由は、手術が必要なこどもにしっかり手術をすることで、そのこどもの数十年にも及ぶ未来を創るお手伝いができる、素晴らしい仕事だと思ったからです。こどもたちの発達や成長を見守り、社会で活躍する姿に喜びを感じる〝明るい外科〟のイメージがありました。また、自分が働く場所として、こどもがいることで自然と笑顔も多い中で仕事ができるのでは、と思いました。Q.大学で医学部の学生や若手の医師を指導するにあたって心掛けておられることは?A.教育やプロフェッショナルの人材育成はとても大事だと考えています。学生には自主性や考えることを大切に、若手医師には明るい未来に目を向け頑張ろうと思うきっかけを作ったり、できるだけ自分で考えて行動してもらえる環境を作ったりすることを心掛けています。一方で外科医は「優しい」指導だけではプロフェッショナルは育ちにくいかもしれません。医師は人の命を預かる仕事なので、しっかり指摘したほうがいい場面もあります。少し前、小児外科医の一部が「厳しい」先生と言っているのを耳にしました(笑)。Q.病院で日頃、こどもさんや親御さんに接するにあたって心掛けておられることは?A.手術後のフォローアップの外来診療では、本人と親御さんの話をよく聞くようにしています。小児診療では親御さんと話をすることが多いですが、親子で同じ考えを持っているとは限りませんし、こどもは親には言いづらいこともあります。本人の話を聞いて初めて分かる身体の異変が起きているかもしれません。親御さんに加えて、手術後のこどもも年齢に応じて直接気持ちや困りごとを話すことができる場を作るように心掛けています。―神大病院小児外科の特徴や良いところは?特徴としては、患者さんに優しい医療を医師全員が心掛けていること、ロボット支援手術をはじめ最新の技術や知識を取り入れた診療を行っていること、小児科の先生方が主治医として診療しておられる障がい者の方々の外科治療をお引き受けしていること、こどもの気道の病気を専門的に診療できること、などです。外科の分野ではチームワークが大切ですが、神大病院小児外科医師は、皆が同じ方向を向いてチームワークよく小児外科医療に取り組んでいると感じます。患者さんや親御さんにしっかり話をしたり、看護師さんをはじめコメディカルの方々や他の診療科とのコミュニケーションをとったり、全て患者さんであるこどもたちに最善の治療を行うという目的を常にもって行動している素晴らしいチームだと思います。これからも一丸となって小児外科医療を行っていきたいと思います。83

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