KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年4月号
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帝国ホテル2代目本館バンケットにあった、孔雀をモチーフにした大谷石の装飾(イメージ)イラスト/米田 明夫ところで民藝運動の提唱者、柳宗悦も大谷石に惚れ込み、大谷石屋根の長屋門を宇都宮から移築し終の棲家としたほどです(現在の日本民藝館西館)。アーツ・アンド・クラフツ運動と縁があるライトと柳がともに大谷石に魅せられたというのも、どこか興味深いですね。FRANK LLOYD WRIGHTフランク・ロイド・ライト1867年にアメリカで生まれたフランク・ロイド・ライトは、91歳で亡くなるまでの約70年間、精力的に数々の建築を手がけてきました。日本における彼の作品としては、帝国ホテルやヨドコウ迎賓館、自由学園明日館が有名です。彼が設計した住宅のすばらしさは、建築後100年経っても人が住み続けていることからわかります。これは、彼が生涯をかけて唱え続けてきた「有機的建築」が、長年を経ても色褪せないことの証明でしょう。フランク・ロイド・ライトが提唱する「有機的建築」は、無機質になりがちな現代において、より人間的な豊かさを提供してくれる建築思想なのです。121

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