KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年3月号
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た。神戸にあった校舎が全壊したんです」とおのが説明する。「本当だったら自宅から学校まで電車一本で通えたのですが、震災で線路が分断され、山陽、JR、阪急…と乗り継いでの登校。定期券も三枚必要になって」とこじまがふり返る。「阪急六甲駅から学校まで毎日、焼け野原の瓦礫のなかを歩いて通いました。周辺の家屋はほぼ全壊。建て替え中の校舎で授業が行われましたが、窓ガラスはなくシートで覆った状態でした」とおのは話す。震災から20年の節目の2015年。震災をテーマに作られた朗読劇『ヘブンズ・レコード~青空篇~』(2016年公演)のテーマ曲の制作を依頼された。また、翌2018年にも震災をテーマにした舞台『午前5時47分の時計台』のテーマ曲を手掛けている。2019年には、再演された朗読劇『ヘブンズ・レコード~』の劇伴(劇中に流れる音楽)をすべて手掛け、舞台でピアノを演奏し、歌った。震災への思い入れは強い。〝震災30年〟の今年は花*花にとってメジャー・デビュー25周年だけでなく、結成30年という特別の年でもある。「歌や演奏でできることなら何でも引き受けたい」と二人は言う。この言葉通り、舞台や映画、テレビドラマの主題歌なども積極的に手掛け科ヴォーカル専攻、おのはプロミュージシャン科ジャズピアノ専攻。息の合った二人は同年、デュオ花*花を結成した。1995年といえば、1月17日午前5時46分、阪神・淡路大震災が発生した年だ。二人とも高砂市の実家は無事だったというが、「4月の入学式を行うことはできず、6月まで延期されまし26

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