KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年3月号
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でした。このような連鎖運動は、その後の人生へと今尚、連鎖しているように思います。人脈を自ら想定して求めた場合は、思い通りにならないことが多いように思います。僕の場合、人脈の入口の細江さん以後は、全て受け身の態度を貫き通した結果、構築され、実に多様な人達との相関図ができあがったように思います。しかも不思議なことに特定のジャンルの人達だけではなの後の日本の文化の担い手で、著名人ばかりです。というか、著名人になっていったのです。短時間にこのような人間構成がほぼ確立したのは、今でも奇跡のように思いますが、大半の人脈は連鎖的に結合していきました。自分から求めたのは、最初の細江さんだけです。あとの人脈は自然発生的というか、連鎖的に拡張していきました。自力ではなく、何か他力が作用したような感じ横尾忠則現代美術館美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、東京都名誉都民顕彰、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』ほか多数。2023年文化功労者に選ばれる。『横尾忠則の人生スゴロク展』開催中2025年1月17日(金)~5月6日(火) 横尾忠則現代美術館(神戸市灘区)にてく、実に多様な職種の人達の、人間地図のようなものができていったように思います。従って、不必要な人はこの地図の中には存在していません。人と人の関係は面白いですね。むしろ求めない方が、求めた以上のものが手に入る。そんな論理というか、法則が、人間関係に於いても作用するような気がします。横尾忠則《土方巽 燔犧大踏鑑(ガルメラ商会)》1970年~中央の「燔犧大踏鑑」の文字は三島由紀夫による21

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