KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年3月号
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公さんです。細江さんが三島由紀夫さんの写真集を出すということを知って、どこの馬の骨とも知らない僕が、いきなり細江さんを訪ねて、写真集の装幀をさせてほしいと頼んだのです。が、すでに杉浦康平さんという有名なデザイナーの手に渡っていました。が、細江さんが寺山修司を紹介してくれて、寺山修司が唐十郎を、と、次々とあの60年代の文化的旗手を片端から知ることになったのです。ほんとに1年か2年の間、そす。それは僕が画家だからでしょうね。といいながら、気がついたらその作者に興味をもって、その作者との交流が始まることもあります。こちらが興味をもった人間は、不思議と相手も興味をもってくれるものです。お互いに惹かれる要素があるからですが、これがなければ一方通行で終わります。人と人の交流には、何か入口がありそうな気がします。僕が上京して最初に訪ねた人は、写真家の細江英ます。彼等とは全く異なった生き方であるにもかかわらず、彼等から如何に生きるかということを学ぶのです。文学の主人公も時には私淑の対象になることもありますが、文学の主人公はどことなく暗くて重いので、こうした主人公にはあまり私淑したいと思いませんね。むしろそうした人物を描いた作者に興味があります。僕は文学に対する興味ではなく、作者に興味があります。僕が興味をもつのは、作品ではなく作者です。でも芸術に関しては、作者よりも作品に興味をもちま『新輯薔薇刑』集英社 1971年[細江英公(写真)/三島由紀夫(被写体・序・題箋)/横尾忠則(装幀・装画)]横尾忠則《腰巻お仙(劇団状況劇場)》1966年~中央の写真は細江英公の撮影20

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