アビリティーズ~保障より機会を愛の手運動は親に育てられない子どもたちに、里親・養親を求める運動です。募金箱の設置にご協力いただける方は協会にご連絡ください。公益社団法人 家庭養護促進協会 神戸事務所神戸市中央区橘通3-4-1 神戸市総合福祉センター2FTEL.078-341-5046 https://ainote-kobe.orgE-MAIL:ainote@kjd.biglobe.ne.jpニューヨーク州ロングアイランドにハムプステッドという町があり、そこの「アビリティーズ」という変わった名前の企業を訪ねました。私は日本を発つ前、この会社の創立者であるH.ビスカルディ氏の自伝ともいうべき「GIVE US THE TOOLS」(日本語訳「敗北を知らぬ人々」ダイヤモンド社刊)を読んで是非この企業を一度訪ねてみたいとかねがね思っていました。「この世界に不能力者はいない。いるのは能力者だけだ」という社長のビスカルディ氏の「人間宣言」のもとに、1952年に創立されたこの障がい者だけの企業は、今では日本でもよく知られています。創立者のビスカルディ氏自身、生まれた時から両足がありませんでした。障がい者としていろんな差別や偏見に苦しんできた彼は「機会さえ与えられれば、障がい者も人並み以上に働ける能力があるのだ」という信念を証明するために、世界で初めての身体障がい者による身体障がい者のための、身体障がい者だけの企業を設立したのです。アビリティーズという社名は「我々は、できない事ではなく、できることについて考えることから出発しなくてはならない。大切なのは我々の“アビリティ”つまり能力なのだから」というビスカルディ氏の考えから生まれたものなのです。ビスカルディ氏は「保障より機会を」を口癖のように言います。「障がい者は、他人からの保護や国からの保障だけを求めようとしがちだが、これはもはや人間としての存在と権利を自ら放棄したことになるのだ。保護や保障だけを求めるのではなく、障がい者は自らの人生を切り開く機会をつかまなければならない」と言うのが彼の信念であり、アビリティーズ社の正面玄関に掲げられている社の綱領でもあります。電気器具やガラス製品を作っている現場を見せてもらいましたが、全員が障がい者であるという点を除いては、普通の工場と何ら変わるところがありません。このアビリティーズ社が先例となって、日本や世界各国に同じ信念を掲げる企業ができるようになりました。出会いと学びの旅から公益社団法人家庭養護促進協会事務局長橋本 明Vol.15110
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