も知っておかなくては全身のリハビリに支障が出ることもあります。院内のリハビリスタッフとは毎日、密にコミュニケーションを取っています。―地域の医療機関とも連絡を取り合っているのですか。治療をする先生と地域でリハビリを担当するスタッフがそれぞれに「歩けるようになる」「車いすで動けるようになる」などと定める目標が食い違っていたら、混乱するのは患者さんです。そこで、退院後の患者さんがリハビリを受けておられる医療機関のスタッフともWEB会議なども活用してできるだけ情報を共有するようにしています。小児については市内3カ所の療育センターとも連携し、日頃から連絡を取り合い、時にはこちらから出向いてリハビリや装具の調整などを行っています。神大病院リハビリテーション科は院内、院外問わずいろいろな場面で橋渡し的な役割を担っています。原田先生にしつもんQ.原田先生は何故、医学の道を志されたのですか。A.両親や親せきの多くが小学校の先生で、私も子どもに関わる仕事に就きたいと思っていました。高校生のころ、テレビでNICU(新生児集中治療室)の特集を見て、子どもの命を救い、生活を手助けできる仕事に就きたいと思うようになり、医学部に進学しました。Q.ご自身の健康法やリフレッシュ法があれば教えてください。A.子どもたちのミニバスケットの応援や、私自身もママさんバスケチームでリフレッシュしています。子育てと仕事に追われる毎日で自分の健康を気遣っている余裕がないのですが、子どもたちと一緒にいつもバタバタと走り回っているので運動不足にはなっていないのが唯一の健康法かなと思っています。Q.日頃、病院で患者さんに接するにあたって心掛けておられることは?A.お医者さんは、特に小児の患者さんには嫌われます。顔を見たとたんに泣かれることも(笑)。注射など嫌なことは正確に、できるだけ短い時間で終わらせるようにしています。また、診察室ではその日の様子をみるだけでなく、日ごろの生活など背景をきちんと把握するよう心掛けています。子どもさんなら、学校に通えているのか、支援級に入っているのか、体育はできているのか、困りごとはないかなど、短い診察時間でできるだけ多くの情報を引き出し、それに基づいて公的サービスの情報を提供したり、必要な支援を受けられるように意見書を書いたりして、できる限り患者さん自身が望む生活に近づけてあげたいと思っています。Q.大学で学生さんを指導するにあたって心掛けておられることは?A.学生さんは、病気の治療法や手術の方法については他の診療科で学んできます。患者さんが一個人として社会でどのように生きているのかを把握するのがリハビリテーションには大事だと理解してもらうようにしています。Q.リハビリテーションを専門にされた理由は?A.私自身、運動が好きで学生時代はバスケットボールをやっていました。そこで子どもの運動や活動に関わろうと、まず整形外科に入りました。手術をするというより、術後の患者さんが元の生活に戻っていく段階で手助けをしたいと思い、リハビリテーションに重きを置いて仕事をしています。109
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