はり長期化します。筋ジストロフィーなど神経・筋疾患の入院患者さんや、脳性まひなど先天性疾患、遺伝的要素で小児期に発症する「希少疾患」をもつ患者さんもおられます。―小児のリハビリは大人とは違うのですか。リハビリには機能回復と、もうひとつ「活動を育み日常生活の自立度を高める」という目的があります。たとえ歩けなくても電動車いすでどこへでも行けますし、最近は呼吸器が付いていて喋ることができなくてもSNSで発信をすればいろいろな活動ができます。病気や障がいがある中で発達し、大人になっていく小児の場合は「活動を育み成長を支えるためにできることは何か」を考えながら工夫しています。―例えば、どんな工夫ですか入院が長期になると、学校に行けなくなったり、同年代との触れ合いの機会が持てなくなったりします。そこで、患者さんに関わる多職種のスタッフが協力し、相談相手になったり、他の小児患者さんと関わりを持てる機会を作ったりしています。もともとの学校などにおけるライフイベントもできるだけ大事にしています。「卒業式に出席したい」という患者さんがおられたら、リハビリで卒業式のシミュレーションをしたり、学校と連絡を取って注意事項を確認したりと、目標達成まで、できる限りフォローをします。残念ながら立つ、歩くといった動作が制限される患者さんもおられます。だからといって、「外出できない」などということが無いように補装具の処方や指導を行っています。―補装具とはどういうものですか。足にまひがあり、力のコントロールがしにくい場合に着けて、立って歩く練習をする下肢装具、体幹にまひがあり、うまく座れない場合に身体に着ける体幹装具などがあります。また、移動に車いすが必要な患者さんには様々な車いすを調整して処方します。―装具を着けての訓練は子どもさんにはつらいでしょうね。装具はいつも着けていてほしいので、義肢装具士さんと相談して子どもたちの好きなデザインを取り入れて製作してもらいます。新素材を使って軽くて、かつしなやかな最新の装具なども取り入れるようにしています。訓練にはゲーム的な要素も取り入れて、子どもたちが楽しみながら取り組めるよう心掛けています。―子どもから大人への移行期医療の問題は?成長に伴って装具は作り変えが必要ですし、患者さんの状態も変化します。装具を着けていた子どもさんが大きくなり、必要なくなるケースもあります。神大病院では小児リハビリテーションが独立しているわけではないので継続して担当することができ、移行期医療の問題が少ないのは患者さんにとっての大きな利点だと思います。―小児科をはじめ、各診療科と常に連携が必要ですね。院内、ほぼすべての診療科と常に連絡を取り合っています。一部、独自に行なわれている眼科や耳鼻科のリハビリもありますが、視力や聴力に関する情報108
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