─裕次郎さんは専門家にどのようなことを学んだのですか。中村 久保清景垂水区医師会長から生存可能性が低下する「72時間の壁」、若松謙一垂水区長からハザードマップと垂水区の防災対策について学び、避難時に起きやすいエコノミークラス症候群の対策や災害時のメンタルケアについては医師からの解説がありました。災害時の対応については、災害対応病院に指定されている神戸掖済会病院のスタッフが出演してトリアージなどについて説明し、本物の救急隊員も災害時に使われる体制機材で救護の実際を披露しました。─災害への備えについての学びはありましたか。中村 また避難持ち出し品について、ワイドショー形式で笑いを交えながら楽しく学びました。避難者の把握や支援にも活用されるマイナンバーカード、持病などが記載されたあんしんシート、災害関連死で多い誤嚥性肺炎の防止に繋がる口腔ケア用─どのようなテーマでしたか。中村 「裕次郎さんの防災~医療・介護の防災六か条~」がテーマでした。2024年は元日に能登で地震があり、夏には南海トラフ地震臨時情報が出ました。また、2025年は阪神・淡路大震災から30年を迎えます。フォーラムを通じて市民のみなさまの防災意識を高めてもらおうと、日頃からの備えや被災時の行動などを盛り込んだ演劇をおこないました。垂水区3師会、区行政およびエナガの会のメンバーを含む日頃の生活を支援する方々約80名が出演し、脚本制作、音響、道具作成、動画撮影などで計100名以上が関わりました。─どのような内容でしたか。中村 神戸市医師会副会長の久次米健市先生が演じる裕次郎さんの一家が、専門家から医療や介護の災害対策を学び、お隣の要援護高齢者の避難計画を話し合ったことをきっかけに地域ケア会議や避難訓練が行われました。その後裕次郎さんは2054年の病院へタイムスリップしてそこで地震に遭遇、垂水区が一番早く避難を完了したのは30年前から避難訓練を続けてきたからだと告げられるストーリーで、ジュニアコーラス「ティンカーベル」による唄「しあわせ運べるように」のエピローグで終わりました。「NPO法人エナガの会」は、垂水区内の多職種連携の会として、2009年に発足。会のメンバー自身が演じる演劇で、それぞれの専門職が大切なことをメッセージとして伝える取り組みを続けている85
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