この1月17日に阪神・淡路大震災から30年を迎えたが、その1か月前の昨年12月17日、プレイベントとしてシンポジウム「震災の教訓を明日へつなぐ」が長田区のピフレホールで開催され、280名ほどが集った。主催の阪神・淡路大震災 長田復興コンサート実行委員会は、長田で店舗や自宅を失った峯松文男さんが企画し、震災直後の5月に焼け跡を会場に1万人が来場した五木ひろしさんのコンサートがルーツ。その後同時期に駒ヶ林中学校で支援ライブをおこなった高石ともやさんや、「子どもたちを元気づけたい」と佐渡裕さんにも声をかけて震災10年目から5年ごとにコンサートを開催、今年も1月17日におこなわれた。その前夜祭的に催された今回のシンポジウムでは、まず兵庫津ミュージアム名誉館長の田辺眞人先生が「歴史に学ぶ震災の知恵~地域の震災の歴史から」をテーマに講演。田辺先生は古文書から734年、1185年、1596年とだいたい400年おきに畿内で大地震が起きた可能性を指摘。「歴史から学べばある程度予見し警戒できたはず」と語った。そして発生から30年をひとつの節目とし、今後は阪神・淡路大震災を歴史として客観的に伝えるべきではないかと問いかけた。続いて自身も須磨で被災したピアニストの坂本恵子さんによるエリーゼのためにやショパンの革命などの演奏が。「会場では同じ体験をした人たち、その体験を分かち合いたいと思う若い人たちに、温かい雰囲気を感じました」と坂本さん。音楽に込められた深い感情を慈しむように奏でた音色は、観衆の心に染み入った。シンポジウム 「震災の教訓を明日へつなぐ」長田復興コンサート実行委員会田辺先生は歴史から学ぶことの大切さを伝えたひょうご神戸まちかど学だより82
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