高エネルギー加速器研究機構の多田と申します。まず最初に、お詫びと訂正から。本稿を書くために前々回の原稿を確認していたら、そこに間違いを発見しました。第18回(2024年12月号)の内容は「地平線問題」ではなく、「平坦性問題」です(68頁後ろから6行目)。今回の内容が「地平線問題」です。申し訳ございません。謹んで訂正申し上げます。ということで、改めて、「地平線問題」についてお話ししましょう。その第18回でもお話ししましたように、「地平線」の広さは、その曲率によって決まります。例えば目の高さが1.7mの人が地球上に立ったとき、その「地平線」の広さは、4.7kmとなります。いっぽう同じ人でも月の上だと2.4kmになります。この違いは、地球と月の大きさの違いによるものです。つまり、大きな空間のほうが「地平線」が広いのです。現在の宇宙では、第18回でお話ししたように、観測できないほど遠くまで平坦、つまり「地平線」ははるか遠くまで広がっていますが、ビッ多田先生!素粒子物理学者の 宇宙物理学教室教えて 連載〜第20回〜 地平線問題自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。この連載で謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!62
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