戦わされているのかも知れないが、それに気づかないのである。どん感なのである。自然体といってもいいように思う。自然体の条件は、なるようになることである。なるようにするのではなく、気がついたらなるようになっているのである。人生はそれでいいのではないだろうか。それでは不満だという人が、運命と戦ってちょっと違う。波はいたって小さい。だけど変化、起伏はある。ある意味で変化の連続である。運命とは変化そのものである。運命にまかせても逆らっても、変化からは逃れられない。だけど僕の変化は変化と気づかないような変化のように思う、というか変化そのものが運命の特質である。運命と戦わなくても自然に横尾忠則現代美術館美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、東京都名誉都民顕彰、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』ほか多数。2023年文化功労者に選ばれる。『横尾忠則の人生スゴロク展』開催中2025年1月17日(金)~5月6日(火) 横尾忠則現代美術館(神戸市灘区)にて勝ち取るのである。運命に従うということは、勝ち取るというような強引さは全くない。しかし、世間の評価はこのようにして勝ち取った者が称えられる。まぁ、今回のスゴロク展は、そんなにややこしいことは言わない。どのような展覧会になるのか、僕にも全く予測がつかない。それこそ運命まかせにしましょう。《城崎幻想》2006年 横尾忠則現代美術館蔵19
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