KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年2月号
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れるとその外観からは想像できない開放的な空間が広がっている。巨大な円柱に組み込まれ何本も突き出した挿肘木と木鼻をボリュームに富んだ虹梁が結び、中央で化粧垂木に届かんばかりの高さ約5・3メートルの阿弥陀如来像が人々を迎え入れる。太陽が西に傾き始め、光が背後の蔀戸から差し込むと檜の床に当たって乱反射し、鉋(かんな)で丹念に仕上げ朱に塗られた化粧屋根裏まで届き堂内に降り注ぐ。赤く染まった阿弥陀三尊立像が浮かび上がるとき、西方極楽浄土からのご来迎に遭遇したような幻想的な空気に包まれる。計算し尽された重源上人の傑作は浄土思想の建築的表現の究極であり、日本の建築史においても貴重な遺構だ。浄土寺小野市浄谷町2094TEL.歓喜院 0794-62-4318宝持院 0794-62-2651拝観 9:00~12:00/13:00~17:00   (10月~3月は16:00)拝観料 500円315

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