KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年1月号
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る体制にもなっています。─JMATも阪神・淡路大震災の教訓から創設されたのですか。八田 はい。兵庫県が主体となって、日本医師会により結成されました。困難だった能登地震の救援─2024年の能登半島地震の時は、DMATやJMATはどう活動しましたか。八田 最初はDMATが入り、その後全国から来たJMATが活動しました。JMAT兵庫も現地で医療支援を行っています。ただ、阪神・淡路大震災の時は東、西、北から被災地に入ることができたのですが、能登は半島で鉄道も道路も寸断されていて、しかも山々が連なり、交通事情が悪くなかなか半島の先まで行けなかったんですね。我々は最初七尾市に入り、その後穴水町までは行けましたが、その先の輪島市や珠洲市、能登町、門前町までは展開できませんでした。ですから今回、奥能登ではDMATが長く活動せざるを得ませんでした。─JMAT兵庫はどのようなチーム構成ですか。八田 メンバーは被災地の状況に合わせて人数や構成を検討します。例えば能登半島地震では医師が2名、薬剤師1名、看護師2名、事務局2名の計7名がチームとなって活動しました。─JMATに登録している県医師会会員は何名ですか。八田 2024年11月現在、492名が登録しています。これは全国的にも多い数字です。開業医が多いのが特徴ですが、自身の医療期間にかかっている患者さんのことがあるので、どうしても活動期間が限られてしまうというのが実情です。ですから病院勤務の医師など、長期間活動できる会員をどう増やすかというのが課題です。医師不足でもありますし、なかなか難しい問題ですが、研修など現在進行形で対策を行っています。─JMAT兵庫のこれまでの主な出動実績は。八田 能登半島地震のほか東日本大震災、熊本地震、岡山の豪雨災害でも出動しています。被災地には全国のJMATが入ってきますが、JMAT兵庫はその統括業務も求められています。非常に難しい任務ですが、地域の事情に柔軟に対応しながら、阪神・淡路大震災の経験を生かして取り組んでいます。─被災地の支援活動での課題は何ですか。八田 まず、公衆衛生面では水の確保です。水道の復旧は電気などより遅れます。トイレ事情にも大きな影響がありますし、手洗いが十分にできないと感染症の拡大に結びつくおそれがあります。また、被災97

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