KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年1月号
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─そのような経験や教訓から、DMAT(災害派遣医療チーム)ができたと聞いていますが。八田 阪神・淡路大震災では色々な問題が浮かび上がり、特に発災直後の医療救助活動は大きな課題でした。その解決のためには専門の部隊が必要であると、厚生労働省が中心となって2005年にDMATが組織されました。その次の年からDMATの研修や訓練を兵庫県災害医療センターで行い、西日本の拠点として重要な役割を担っています。─それは阪神・淡路大震災の被災地だからなのですか。八田 実際に被災体験を持つ会員も多いですし、震災の教訓を実践に生かすには神戸が適していると思います。─どのような研修を行うのでしょうか。八田 災害時特有の医療について学びます。災害時はいざ実際に現地でどう動けば良いのか、頭でわかっていてもノウハウがないと難しいのです。被災地では医療器具も限られますので、そのような状況のなかでいかに工夫するかというところも重要です。また、*クラッシュシンドロームへの対処や、トリアージ(治療優先度)も大事になってきます。─DMATとJMAT(日本医師会災害医療チーム)の違いは。八田 基本的に、DMATは発災直後の医療対応を担い、JMATは発災の数日後に被災地に入ってDMATの任務を引き継ぎ、現地の医療体制が回復するまでの期間を目途に地域医療を担います。DMATは厚生労働省が統括し、各地の災害拠点病院などに所属しています。JMATは日本医師会の統括のもと、都道府県の医師会ごとに組織されます。現在は発災直後、DMATが入るまでの間に、被災地のJMAT隊員が活動す能登半島地震でのDMATとJMAT活動の様子96

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