KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年1月号
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前回は、ビッグバン理論の問題点として、「地平線問題」についてお話ししました。今回は次なる問題点、「モノポール問題」についてお話ししましょう。みなさんは、小学校で磁石について習ったとき、「磁石には、かならずN極とS極があり、『N極だけ』『S極だけ』といった磁石はつくれない」と教わったのではないでしょうか。磁場と対になっている電場の世界では、それを発生させている「源」として、電荷があります。その電荷には、プラスとマイナスがあるので、「プラスだけ」「マイナスだけ」といったものはつくれます。いっぽうで、磁場というのは、その電荷が動く、つまり電流となることでつくられるので、「磁荷」なるものは存在せず、したがって「N極だけ」「S極だけ」というものは存在しないのです。もし手許に磁石をお持ちであるなら、それを割ってみるとよくわかります。もとの磁石のN極側の割れ口が新たなS極となり、S極側の割れ口が新たなN極となり、結局NS両極の組み合わせが2つできます。それらをさらに2つに割ると、4組のNS極ができます。これを、小学校では、多田先生!素粒子物理学者の   宇宙物理学教室教えて 連載〜第19回〜 モノポール問題自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。この連載で謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!78

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