KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年1月号
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役員を前にして「マツダとして整備士学校を作るつもりはありますか?トヨタも日産もホンダも他のメーカーは作っています。みんな困ってるんですよ」と、訊ねたら、そういう計画はないということだったので、「じゃあ僕が作りますけど協力してくれますか?」ということで計画がスタートしました。整備士というのは交通インフラを守るエッセンシャルワーカーだと私は思っていますので、このまま減り続けると、大変なことになるという危機感を持っています。ですので、この学校は、自分たちのためではなく、全国のマツダディーラーのため、あるいは兵庫県下の、トヨタなども含めた他のディーラー、モータスなどの街の整備工場などへの就職にも役立てて欲しいと考えています。業界全体の課題解決を目指されているわけですね。はい。社会的課題の解決というのは企業の使命だと私は思っています。実際に色々なことをやってきました。例えば東北で災害が起きた時はボランティアに行ったり、女性の社会進出を助けるために保育園を作ったり。しかし、やっぱり、最終、本業の社会的課題というのは“ここ”じゃないかということで、整備士になりたい人を増やす目的で、この学校をやろうと決意しました。学校の法人名は「5HAPPY」。これは御社のパーパスにもなっています。例えば、リーマンショックのような金融危機や大震災などが起きると、販売台数がガーンと落ちるんですよね。でも、そんな時にでも生き続けられる会社とはどういう会社なのかと、自分に問うた時期がありました。その答えとして、『みんなに愛されて、この世に無くてはならない存在』になれば、続けていけるんじゃないかと思ったんです。そのために必要だと考えたのが“5つの幸せ”―「お客様の幸せ」、「社員とその家族の幸せ」、「協力者の幸せ」、「地域の幸せ」、「社会・環境の幸せ」、これらの実現を目指しています。「マツダ自動車整備専門学校神戸」は5HAPPY実現の1つの場でもあるということですね。改めて、この学校の特徴はなんでしょうか?この学校では、整備の技術のみならず、人間としての自立を目指した教育を目指したいと思っています。中でも特徴的なのが、大谷翔平選手も学んだといわれている“原田メソッド”の導入です。これは、原田教育研究所の社長である原田隆史氏が考案した教育手法で、目標達成のプロセスを通じて人間性と仕事力の双方を磨いていけるものです。会社として取り入れた時期もありました。今回、原田氏にも学校の理事になってもらって、この教育法を活用して自立を図りたいと考えています。さらに、校長は、ロードスターやRX―7などマツダを代表する車の開発に携わった山本修弘氏が務めます。マツダはそもそも、人が中心であるべきという哲学の会社なんですね。例えば、“人がドライブをして心が活性化する”ことを46

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