KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年1月号
39/148

て、このような流れをさらに加速させることで、新たなテクノロジー、医療機器、創薬の開発が進み、神戸の産業形態を進化させていきます。松村 デザインが決め手となるケースが昔と比べると増えています。例えば、飲食店で箸袋のデザインにちょっとした工夫をしただけで「かわいい」と評価され急にお客さんが増えるような例もあります。神戸で育まれたデザイン力は他の都市とは違う個性があります。大学の施設内だけでは神戸で育まれたことにはならず、学生が地域社会と接点を持てる環境づくりが重要です。芸工大でも個々の先生方にお任せするだけでなく大学として進めていけば神戸独特の感性が形になり、産業との連携も当然起きてくると思います。久元 「神戸市民の皆様、神戸は滅びない。新しい神戸は、一部の人が夢見た神戸ではないかもしれない。しかし、もっとかがやかしいまちであるはずだ。人間らしい、あたたかみあるまち。自然が溢れ、ゆっくり流れおりる美わしの神戸よ。そんな神戸を、私たちは胸に抱きしめる」。亡くなられた陳舜臣先生の震災直後のエッセーです。これは明確な方向性を示しています。そこで大事なのはデザイン力です。新しく造るだけではなく既にあるものを生かして考える構想にはデザインが不可欠です。このまちでクリエイティブな取り組みをしたいと思う人たちが活躍できるフィールドを提供し、感性が豊かになり、新しいものが次々と生まれてくるまちであってほしいと思っています。神戸芸術工科大学は当時の神戸市長から「神戸をデザインの街にしたい」という言葉から開学した39

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る